ゲッツー崩れ

巨人3x−2阪神 14日◇東京ドーム

2点ビハインドの7回裏
まさに起死回生の逆転3ラン!

こういうのを昔の野球ファンの人って
「おつりがない」
って言いますよね。
父がよく言ってました。

1点だけ逆転した時に使う言葉です。
一番カッコイイのは
0−3、3点負けの場面での逆転グランドスラム


昨日の勇人のHRは
敗色濃厚だったチームを救い
我慢の投球を見せていた杉内に勝利をプレゼントする
見事な一打となりました。


「天を仰ぐ」
この言葉も勝負の世界、とりわけ緊迫したシーンで見せる
嘆きの仕草を表現するにはピッタリな言葉ですが
打たれた瞬間のマウンド上
タイガース岩田投手の思わず「天を仰いだ」その姿に
ほんのチョッピリ・・・切なさも感じたりしていました。


岩田稔投手
1型糖尿病のため1日4回のインスリン注射が欠かせません。

同じ病を発症しつつもプロで活躍した元G、ビル・ガリクソン投手に勇気づけられたことから
「自分が頑張ることで、同じように糖尿病と戦っている人たちを勇気づけていきたい」と
1勝するたびに10万円を糖尿病研究のために寄付しているという話を聞いたとき
素直に、頑張って欲しいなぁと感じたものです。

元気じゃないから、病気だからとかいう理由で
応援する気持ちが変わるということもないけれど
ライバルチームであってもやはり応援したい気持ちになる選手っていますよね。
「真っ直ぐを引っ張られたということは、僕に力がなかったということ」
力投虚しく唇をかんだ試合後の様子が胸痛いです。


7回、ピンチを招くも1死から藤村の当りは併殺コース
ゲッツーなっていれば即チェンジ、
勝負のあやはこのゲッツー崩れにあったように思いました。

金本選手が引退会見で語った言葉のことをブログでも書きました(前々回の記事)が

「僕の中では、後輩に言っているのは、(1002打席)連続無併殺記録。
打率が下がるところで全力で走って、ゲッツーにならなかった。
内野安打にならないところで全力プレーしてきたことを
フルイニングよりも誇りに思う。」

まさにこの試合のこの場面は、金本選手の言葉を改めて感じさせてくれるシーンでしたね。


藤村のような選手が走らなくてどうするんだっ!
というくらい当たり前の全力疾走ではあっても、それを怠らず走った姿
一塁走者長野のアシスト
この大チャンスの起点となった谷の通算350本目のツーベース

一人一人が自分の役目を果たし
チームのために戦ったからこそ生まれた、勇人の劇的な逆転打だったのだと思います。


本調子ではなかった先発杉内も
苦しい投球ながら失点は初回の2点のみ
2回からは立て直し、結局7回までを投げ抜きました。
白星はほぼあきらめていたであろうベンチ裏でのアイシング・・・

聴こえて来た大歓声に慌てて駆け出し勇人の許へ
感謝を込めた“グータッチ”を交わす笑顔が本当に嬉しそうでした。

調子が悪くてもあきらめず粘る、
この日の出来で2失点に抑えるところが杉内の投手としての「凄み」ですね。

12勝2敗
一人で10個の貯金をチームにもたらしています。
打線の援護があれば
私が思うだけで、少なくともあと“3勝”は上乗せできていたはずです。

杉内には
「自身の黒星は最も許しがたい屈辱、負けないことこそ最善。」
という先発投手としての哲学があるそうです。


「勝ちは、野手のおかげによる要素が大きい。
でも、負けは投手の責任によって決まる。
要は僕が取られなければ、チームが負けることは絶対にない。」

あと一人でパーフェクト達成というフルカウントの場面で
「ここはフォアボールでも仕方がない」
と、あえて甘いストライクは投じなかった杉内にも驚きを覚えましたが

今シーズン、不運なマウンドが何度もありながらの
「負け数を10も上回る白星の数」に
杉内俊哉というピッチャーの凄みを感じました。


この記事は<Ball Parkに住むウサギ>で、9月15日に書いたものです。
Ball Parkに住むウサギ