澄んだ言葉

今年8月に亡くなられた、歌人河野裕子さん>を偲ぶコラムが目に留まりましたので
一部抜粋して紹介します。



講座<日本文化の奔流>に歌人河野裕子さんが登壇したのは、昨年12月23日のことだった。
「若い人に話すのは苦手ですが・・。」と謙遜しながらも引き受けて下さり忘れられない90分になった。

「生の歌会で膝と膝をつき合わす、短歌は座の文芸。
ドーナツのように作ってください、歌の中は推理空間。言葉が生身の自分を飛び越えていく、それが表現。」

がんとの闘病に触れた時だった。自ら公表した理由に力を込めた。
「自分にうそをついたら言葉が濁るんです。濁った言葉でつくった歌はうそです。
自分に正直に出した言葉は澄むんです。」

戦後生まれを代表する女性歌人の軽やかな語り口にみなぎる自信。
「集中して真っ直ぐな気持ちに自分を鎮め、そこから出てきた言葉は誰にも何も言わせません。
逃げないで耐えてくださいね。元気でさえあれば、この世は本当に面白い」

その8ヵ月後、河野さんは逝った。
64歳。

真っ直ぐ、澄んだ言葉で己を照らすー

言葉を研ぎ続けた、50年の作歌(うた)の日々を思う。
贈る言葉>の重さを思う。
読売新聞、編集委員 植松実



現代を代表する歌人として、そのみずみずしい感性から
新鮮な言葉で、女性の心をのびやかに詠った河野裕子(かわの ゆうこ)さんですが
古典和歌や近代以降の短歌にも造詣が深く
生き生きとした歌の中にもどこかしら漂う<品>が感じられたそうです。



自分のブログなどと比べる次元では、もちろんありませんが
改めて、ブログは誰のためでもない自分が書きたいから書いているのだということ
読んでくださる方を意識したり、思ってもいないことを表現したり、言葉を飾ったり・・・
そんなことではない
自分に正直な言葉、澄んだ言葉でブログを書いていきたいと思いました。


寝ぐせつきし あなたの髪を風が吹く
いちめんにあかるい街をゆくとき
河野裕子