年俸調停、裁定下る

前記事で書きました西武ライオンズ涌井秀章投手が申請していた年俸調停
その裁定結果が、昨日出されました。


球団側の提示額
現状維持の2億2千万円プラス出来高

涌井投手の希望額
当初3億円希望もヒヤリング後、2億7千万円プラス出来高に変更


3名の調停委員により、4日間のべ20時間あまりの審議の末、出された結果
2億5300万円プラス当事者間で合意した出来高


涌井投手の話
「調停を申請してよかった。
今後、野手に比べて低いと思われる投手陣への評価や査定にいい影響が与えられたら意義があると思います。
気持ちの整理がついたので、球団とともに日本一目指して頑張ります。」

西武・前田球団本部長の話
「委員の方々に何度も審議してもらって出た金額をそのまま真摯に受け取ります。
涌井選手にはエースとして活躍していただき、ともに日本一へ向かって頑張っていこうとの意を強くしました。」


このニュースを伝える多くのスポーツ紙は、涌井投手の「勝訴」と報道しています。
しかし、堀内恒夫委員は
「勝った負けたではなく、球団と選手双方に『なるほど』と思わせる回答を出そうと努力した。
どちらがプラスの要素が多く、どちらがマイナスの要素が多いかで考えた結果。
それを数字に示したつもりだ。
両者の主張の中間を2億4500万円とすると、2億5300万円という数字は涌井投手側の66%にある。
これが適切な金額と判断しました。」


ちなみに
涌井投手のプラス要素
1.勝ち星と防御率(3.67)が一流投手の範ちゅうである
2.5年連続2ケタ勝利の安定した成績
3.これらの成績から2011年シーズンへの期待値の高さ
4.エースとしてモチベーション向上の必要性

マイナス要素
1.2010年の査定ポイントが2009年よりダウンしている
2.シーズン終盤にエースとしての期待に応えられなかった



さらに堀内氏は上記に加え、
「球団側の現状維持主張の理由である『大事な試合で負けた』というのはおかしいと思う。
年俸とは年間を通じての成績に対する対価であり、あたかも優勝できなかったことを涌井投手の責任であるかのように言うことにも賛成できなかった。
涌井投手の前半戦での活躍がなければ優勝争いには加わっていなかったはずだ。
他球団の投手との比較は関係ないといわれるが、それもそうとばかりは言えない。
同様の実績の選手の額と著しく差があった場合、選手のモチベーションの維持や魅力ある球団作りという観点からしても無関係とは思えない。」
と会見で述べました。


熊崎勝彦調停委員長からは
「調停申請前の球団と涌井投手の契約更改交渉の席上で、話し合いを重ねる中
一時は涌井投手が2億5千万円まで譲歩したにもかかわらず、現状維持を譲らなかった球団側の態度も柔軟性に欠けるものであった。」
と語っていますが、裁定がその時の金額より300万円多いということも皮肉な結果ですね。


もちろん、西武ライオンズ球団としては納得のいかない部分もあることでしょう。
しかしこのように、どう議論され審議されたかについて理路整然と説明を受けたことで
厳しい裁定結果も受け止めることができたかもしれません。


2011年シーズン、涌井秀章投手はこの結果を力とし
ライオンズのエースとして、裁定に恥じないような結果を出してくれること
それを野球ファンは期待しているし、注目していますね。


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