後手

前回の記事にも書いたのですが
東京ドームでナイターを行う上での節電策としてあがっていることの中で
一番疑問に思ったのは

9回打ち切り、延長なし

これは野球そのものを変えることであり、野球ファンとして見過ごせない変更
というよりもルール改悪と言ってもよいのではないでしょうか。



例えば
試合中盤、5回から6回
延長なしの9回終了ということであれば
その時の点差にもよりますが、両チームとも残りの回を如何に守り抜くかということに気持ちを持って行かざるを得ない戦いとなり
野球の醍醐味の一つ、攻める面白みは失われるのではないかという危惧。


私が一番好きな野球
それは、1−0や0−0や1−1や2−2の投手戦

一口に1−1と言っても
その中には、両軍の必死のファインプレーがあったり
繋いで繋いで取った必死の1点があったり
先発投手のもの凄い投球があったりするわけです。


そんな熱い試合が9回終了時点で1−1だったからといって引き分け?
投手戦は大抵の場合試合時間は短いから、「まだ2時間も経っていないのに、」の場合も多いかもしれない。



じゃぁ時間制限を導入すると考えたら
おそらく新たな案として浮上してくると思われるのが
<〜時間〜分を越えての延長戦は行わない>というルール
上記したようなゲームの場合はそれも有効、あるだけまし
とはいうものの
中身がいっぱい詰まっている白熱のゲーム展開
9回終わって5−5の同点
しかし3時間、あるいは3時間30分で打ち切り
こんな消化不良の野球は面白くないと思う。



9回と限定するよりはまだ時間制限の方がいいのかもしれないけど
その昔
仰木監督率いる近鉄が、川崎球場で優勝をかけたロッテとの戦い
壮絶なゲーム展開となり延長10回時間切れ引き分けで悲願の優勝を逃すということがありました。
父が持っているこのゲームのビデオを見ると
近鉄ファンではないのに最終回の攻防に涙が溢れてくるんです。
ベンチで指揮する仰木監督の表情、
必死な選手達の戦いぶりには結果が分かっていても手に汗握ります。
相手の抗議で時間が足りなくなってしまう場面があるのですが、
「もう早く早く」って父は生で見ていて思ったそうです。
抗議する方も悪いけど、抗議も乱闘もプロ野球の一部で時にはそれも必要と思えるものです。


時間で制限するということは
野球の楽しみや、醍醐味を奪うことにもつながります。
素晴らしいゲーム、まして大一番でそんなのつまらないじゃないですか。
それに甲子園やマツダスタジアムナゴヤドームなど節電の必要のない球場でも
ルールは統一しなければならないから同じく9回打ち切り?
選手や監督、現場の意見を聞かず
野球自体の根幹にかかわるこの決定にはやはり違和感を覚えます。




そして、もう一つの節電対策である減灯
これも大変危険なこと
まず、野球は球技の中でも小さな部類に入るサイズのボールを使用しています。
そしてそれは硬い硬い硬球です。
暗くてボールが見づらい中でのプレーはとても危険です。
選手生命を脅かすような怪我や故障につながってしまうかもしれません。


スタンドの観客も、コンサート会場ではないのですからある程度の明るさがないと
危険はもちろんだけど、野球そのものを見て楽しむことができないんじゃないかな。



3月29日と発表されたものの、まだ正式決定ではないようです。
選手会の反対意見もここにきて高まりを見せています。
せめてパリーグと合わせて4月12日にしてほしいと思っていたけど
それだってその時どんな状態になっているか分からないですね。



電力の回復にはこの先まだまだ時間が必要です。
みんなから責められる清武代表・・・庇ってあげたいし
ジャイアンツの選手たち、チームも応援するけど
どう考えてもこのままでは日本中の共感も納得も得られないですね。


文科省から言われたから、4日間の延期
さらに選手会の要望や世論に負けたから3月29日も延期ということになれば
すべてが後手、後手に思えてなりません。

もう東京ドーム開催については電力問題が落ち着くまでは控えた方がよいのではとも思います。


さらにもう一つ思うこと
球団は今回もし、東京ドームや関東圏内開催がしばらくできないようなことにでもなれば
経営上、大打撃を受けることになります。
選手達はダブルヘッダーでも何でもやり144試合やるというけど
もしもゲームができないのであれば
その分、年俸を返上するくらいのことは言わなければ同じ痛みは味わえないと思います。


人は立場が違えば考えも違うし、利益不利益もさまざま
泣いてる人の気持ちは、自分がその立場になって初めて本当に理解できるもの。


辛い思いをされている被災地の方達の心に寄り添いながら
球団も、選手も、ファンも
誰かを責める前にもう一度、たくさんのことを考える必要があるような気がしています。