FOUL

『Ball Parkに住むウサギ』で書いた
2011年12月1日の記事です。



FOUL


とてもよく出来ていると思う野球のルール
中でも
ファウルほど興味深いものはないと常々思っています。


ファウル
と聞いてまず思い浮かぶのは
フェアかファウルかというあのファウル


その基準はもちろんファウルラインですが
このラインを決める重要な要素が1塁と3塁のベース
そして両翼のポールですね。


ポールと言えば、ビデオ判定が導入される直前
中日・落合監督
「その前にやるべきことがあるだろう!」という提言の下
ナゴヤドームのポールの高さをそれまでの18メートルから
継ぎ足し継ぎ足し、なんと41メートルにまで延ばし
ポール先端がドームの天井にまで届かんばかりとなったのは記憶に新しいですね。


もちろんポールの内側を通過すれば
たとえ落下地点が内野席であっても本塁打となりますし
外野スタンドに入ってもポールの外側となればファウル。
打球に命を与えるのが打者ならば
その生死を判断するのは両翼のポールです。


古くはあの有名な天覧試合でのMr.Gのサヨナラアーチも
負けず嫌いな村山実さん(投げた相手・当時阪神のエース投手)は亡くなられるまで
「あれはファウル!」と、言われていたそうですね。
もちろん懐かしく大切な想い出として優しい笑顔を浮かべながら。



本塁打以外の打球を判断するのはファウルラインですが
ここで大きな存在感を示すのが、ファースト・サード両ベースです。


両サイドのベースを越えるまでにファウルラインを外れた場合には
最初の落下点に関係なくファウル。
しかしベース手前まではラインの内側を維持しながら越えた打球は
その後どちらに行こうともフェア打球と判定されます。


ここでも打球の生死に大きく係わるのが両サイドのベースなのです。
ぎりぎりのこのような打球の場合
ファウルゾーンに飛べば飛ぶほど長打になりますね。
ベースに直接当たった時にはフェアですがこの時も運不運は隣り合わせ
打球がショートセカンド方向に跳ね、上手くアウトにされてしまう時もあれば
逆に跳ねたばかりにラッキーヒットとなる場合もあり
その打球がゲームを左右することも稀ではありません。
右か左か、まさに天地の開きがあるフェアとファウルです。


そして
私がファウルの中で
最も面白く且つよく考えられていると思うのが
カウント時のファウルです。


野球では
ツーストライクまでのファウルはストライクとなりますが
それ以降、何球打とうが永久にファウルはカウントされません。
言ってみれば
ツーストライクまでのファウルは投手の勝ち
それ以降は打者有利であるという考え方も出来ると思います。


もちろん、ヒット性の惜しい当りや打ち損じのファウルは
投手側が胸をなでおろす場面ではありますが
ツーストライク以降の連続ファウルというのは
投手にとって気分の良いものではありません。

ファウル、ファウルで粘り勝つ打席とよく言われるのも
ヒットや四球という結果以上にマウンド上のピッチャーの心を萎えさせ
その打者の一打席のみならずチームとしてみても
多くの球数を投げさせ相手投手の疲労を誘えるからですね。


それでは「あまりにも投手が可哀想だ」
という観点から作られたルールが
【スリーバント失敗は三振】というルールです。


ファウルの考え方からすれば
ツーストライク以降のファウルですからアウトにはならないはずですが
これは、意識してそうしようとするバッターの行為を諌める考え方です。
通常野球選手であれば
バントの構えから空振りすることはまずないと考えられますね。
それくらい出来て当たり前、例外はあっても普通に考えればそうです。


だとしたらバントで故意にファウルを打ち続けることも充分可能なわけです。
しかしそれをやられてしまったら投手は身が持ちません。
それこそ、その役目を担う専門の選手が出てきて
延々とファウルを打ち続ける作戦だってあり得ますよね。


野球のルールを知り始めた頃
「なんでスリーバント失敗はアウトになるの?」
と疑問に思ったものですが
皆さんもそんなふうに考えたことはありませんでしたか?
その理由を聞いて
「ふ〜ん、野球って難しい〜だけど面白い」なんて感じたりしていました。


打者がカットしながらファウルで逃げるのは
ルール上普通にファウルとして認められています。
それは、そうすることがバッターとして技術を必要とするからであり
ファウルにならず凡打になったり、予測が外れて空振りする可能性も高いからですね。
スリーバント失敗のファウルとスイングしてのファウルは
明らかに違うものとして規定されています。


野球は球技の中でも
時間制限のない、言ってみれば「加算する競技」であると思います。
ルール上時間の制限がないことに加え、得点にも上限はありません。


近年、同じく時間制限のない球技であるバレーボールやテニスなどでは
試合時間の短縮、スムーズな決着を目指し「タイブレーク」が導入され
ルールもそれに伴い変化してきています。
それでも
ウィンブルドンなどでデュース、デュースの熱戦が繰り広げられのを
夜中に時間を忘れてつい魅入ってしまうこともありますよね。


ソフトボールではルールとして早くから、社会人野球でもすでに導入されていますが
プロ野球においても前回WBCではタイブレークによる決着がみられました。
ショーアップも必要、国際的にも当然の流れかもしれませんが
野球のゲームで
その回の先頭打者を迎える時にすでに塁上に走者がいるという光景には
やはり違和感を覚えてしまいます。


何年か経って
ツーストライク後、決められた数以上のファウルは
「ストラック・アウト!」
なんていうルールにならないで欲しいな、と個人的には思っています。


ルール
どんな競技であっても
なぜ?
どうしてそうなったのか?
何を根拠にそう決められたのか?
を、考えるのは実に興味深く面白いものです。


「どこかの国のチームが強すぎるから、その国に不利になるように変えてしまえ」
というような強引なものもありますが
多くの場合
その競技がそうなるべくして考えられ変更され
時代と共に根付いてきた歴史がありますね。
もう長い間、野球では大きなルールの変更はありません。


自分自身が野球ファンだからということを差し引いても
複雑かつ細かなルールがよく考えられ、創り上げられ、ほぼ完成しているなという印象です。


スリーボール・ツーストライク
同じように表記され表されるカウントにも
そこには
山あり谷あり
投手と捕手、対する打者の絶妙な駆け引きが隠されています。
同じアウトの中身にも野球独特のルールから生まれる奥深さがあると思うのです。


そんな野球の奥深さを伝えてくれる
「FOUL」
時にはホームランに負けない輝きを放つこともありますね!


【編集後記】
ここまで
長文の記事を読んでいただき
その上、“Read more”まで開けて下さった読者さま
本当にありがとうございます。

実は今回の記事は
夏真っ盛りの頃つらつらと書き綴っていたものですが
ファウル、ファウルと、くどくど書いているうちにメチャメチャ長文になってしまい
これでは読んでいただくのも辛かろう(?)ということで
公開はせずほったらかしにしていたものです。
今回、ほぼ半分程度にまとめてようやくUP!


削除した「クドクド」の中身は
★バッターが打席内で二度打ちした場合
★ピッチャーがファウルを打たせる投球術やその心理
★身体に当っているのに当っていないフリをする時の選手の気持ちなど
まぁ、どうでもいいような〜
でも面白いかな、というようなお話です。


<お蔵入り>
と言うほどエラソウなものではありませんが
書いた後で「う〜ん、これは公開できないかも」と
そのままグッスリ眠らせている記事もいくつかあります。


★由伸に愛情を込め過ぎてファン以外の人の反感を買うかもしれないと自粛。
★原監督の采配をメッタギリし過ぎて正統派Gファンの怒りを買うのが恐くて自粛。
★個人的趣味からG選手の守備力を採点したものの
 これまた共感を呼ばないのではないかと弱気になり自粛。


野球以外でも
★「シドロモドロ」なのは充分に市民権を得ていると思うものの
 途中から支離滅裂・意味不明、
 自分で読み返しても恥ずかしくなり自粛したラグビー記事。


その他、自粛理由さえここでは発表できないものなどなど・・

そんなオドロオドロシイ自粛記事が世に出、日の目を見る機会はやって来るのでしょうか?
おそらくその日はやって来ないでしょう〜多分。